今年もよろしくお願いいたします

昨年はあまりウェブ更新が出来ませんでしたが、今年もラオスをウオッチしていきたいと思いますので今年もよろしくお願いいたします。

昨年は、ラオスは変化の年でしたね。皇太子殿下がタイ・カンボジア・ラオスの3カ国を06/25-07/01に公式訪問し、ラオス・カンボジアは初訪問でした。7/11には米国務長官のヒラリー・クリントン氏が57年ぶりにラオスを歴史的訪問をしています。そして、11/05には、ビエンチャンで開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合に出席するために野田首相がラオスを訪問しています。

ラオスのトンシン首相も3/16に日本をASEAN(東南アジア諸国連合)以外の最初の海外訪問先として日本を訪れて、野田首相と会談を行なっています。その後、東京で開催された第4回日本・メコン地域諸国首脳会議に参加のために4/20-21にも日本を訪問しています。

非常に要人の行き来が多かった年だったと思います。

また、新たな懸念・火種も生まれています。一つはメコン川の本流へのサイニャブリの水力発電ダムの建設が11月から始まっています。工期は8年で総工費は約3,000億円の大型プロジェクトです。メコン川は、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの間を流れる国際河川で、メコン川への環境への影響が懸念され、下流域に位置するラオスと友好国であるベトナムも強く反発し、一旦は工事の延期を5月にしましたが、11月から始まってしまいました。上流には中国もダムを次々と建設していますので、メコン川が大丈夫なのか非常に心配です。

もう一つは、中国が意欲的に進めているアジア高速鉄道構想、中国の昆明からビエンチャンまでの鉄道建設です。ラオスの国会は昨年、この建設を承認し、近日中に着工が始まると見られています。一見すると良い話に見えるのですが、中国側は建設の見返りとしてラオスの地下資源を融資の返済として要求、ラオスが長期に渡って中国側の言いなりになることになってしまうことになります。その結果として現在好調な経済が失速する可能性があり国際機関などは慎重な対応をラオス政府に求めています。こうした中国の地下資源外交は、私が注目しているアフリカなどでも行われており、強引な手法で摩擦も起きています、ちょっと心配です。

ただ、ラオスも中国依存を軽減させる一歩も踏み出しています。昨年の10/26に世界貿易機関(WTO)の一般理事会の特別会合でラオスの加盟が承認されています。今年の前半には正式加盟する見通しになっています。これを機に投資や貿易の多角化を目指し、経済的な中国への依存度を少しでも軽減させようとしています。

世界的な景気低迷が続く中、ラオスが今年も好調な経済発展を維持できるか、今年も注目していきたいところです。